2013年11月28日 総合家電アドバイザー 鴻池賢三

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エアコンの電気代 VS 石油ファンヒーターの灯油代

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数年前から、石油価格の高騰で、部屋全体を温める場合、石油ファンヒーターよりも、エアコンの方が経済的と言われています。 

しかし、エアコンでの暖房は「なんとなく電気代がかかりそう・・・」、という漠然としたイメージが残り、石油ファンヒーターを使い続けている方が多いようです。

なぜ、はっきりしないのでしょうか?

エアコンと石油ファンヒーターの優劣がはっきりしない原因は、それぞれの光熱費が、エアコン場合、機種毎の「暖房効率」、石油ファンヒーターの場合「灯油の単価」という、不確定な要素によって比較が難しいのが一因でしょう。

そこで、このページでは、エアコンの暖房効率と、灯油価格を考慮し、同じ熱量を得るのに必要な光熱費(同じ条件の部屋で、同じ温かさを維持するのに必要な光熱費)を算出して整理し、灯油が「18リットルあたり、●●●●円以下なら、石油ファンヒーターでの暖房かお得」、が分かるよう、一覧表にまとめました。

エアコンの効率の良さは、皆様の想像以上かもしれません。 光熱費節約の目安にお役立てください。

エアコンの暖房効率(COP)とAPF

電気ストーブなど、電気を熱に換える器具は暖房効率を「1」とします。 この場合、同じ熱量を得るには、石油ファンヒーター(灯油)の方が、光熱費はお得です。
一方、エアコン暖房の仕組みは、電気をいったん動力に変換し、ヒートポンプ(コンプレッサーと呼ばれる室外機)を動かす事で、大気から熱を取り出します。 これにより、消費する電気の何倍もの熱量を得ることができ、石油ファンヒーターよりも光熱費がお得になるケースが出てくるという訳です。
つまり、何倍の熱量が得られるかが、エアコンの暖房効率(COP)であり、比較の際の重要なポイントになります。 暖房効率(COP)は、エアコンの年式やモデルにより異なり、10年前の製品で4.0程度、最新式の製品で6.0程度が目安です。
2010年以降、カタログ表記や比較の際、一定の実使用条件を前提とする、冷房と暖房を合算した通年エネルギー消費効率「APF」が用いられています。
APFは冷房効率も加味されていて、暖房COPを知る事は難しくなりましたが、「カタログ表記のAPF x 0.8 = 暖房COP」くらいを目安にすれば良いでしょう。

表と読み方

2010年以降のエアコンは、APFを調べ、左の列「エアコンのAPF」から相当する行を見つけてください。

2010年以前のエアコンは、室内機の側面などに表示されている「暖房COP」を調べ、左から2列目の「暖房COP(目安)」から、最も近い行を選んでください。

「実際の使用を想定したCOP」は、実際のエアコン暖房運転を想定したCOP(*)で、計算の基とする数字です。 その右が、ブレークイーブンとなる灯油代で、例えば、暖房COPが4.0のエアコンの場合、灯油18リットルの価格が1,262円以下なら、石油ファンヒーターのほうが、燃費が良く、逆に、1,262円以上なら、エアコンのほうが、燃費が良いと言う意味です。

*エアコン暖房のCOPは、外気温の低下に伴って下がります。 この表では、寒冷地を考慮し、COPは、メーカー公称値の8割程度を目安に見積もる事としました。

エアコンのAPF 暖房COP(目安) 実際の使用を想定したCOP ブレークイーブンとなる灯油代
4.0 3.2 2.6 1,792円
4.2 3.4 2.7 1,707円
4.4 3.5 2.8 1,629円
4.6 3.7 2.9 1,558円
4.8 3.8 3.1 1,493円
5.0 4.0 3.2 1,434円
5.2 4.2 3.3 1,378円
5.4 4.3 3.5 1,327円
5.6 4.5 3.6 1,280円
5.8 4.6 3.7 1,236円
6.0 4.8 3.8 1,195円
6.2 5.0 4.0 1,156円
6.4 5.1 4.1 1,120円
6.6 5.3 4.2 1,086円
6.8 5.4 4.4 1,054円
7.0 5.6 4.5 1,024円
7.2 5.8 4.6 996円
7.4 5.9 4.7 969円
7.6 6.1 4.9 943円
■計算式: 4037 ÷ 暖房COP = ブレークイーブンとなる灯油代(18L)
     電気代を変更する場合: 183.5 ÷ 暖房COP X 電気代単価(円)/Kw = ブレークイーブンとなる灯油代(18L)
■計算の基準:  電気代(25円/1Kw)、電気の熱量(3.6MJ/1Kw)、灯油の熱量(36.7MJ/1L)とし、同じ熱量を得るのに、必要なコストを計算しています。 また、電気代は、地域や契約の種類、燃料価格の変動により異なります。

結論: エアコンが圧倒的に有利 石油ストーブを検討するのは、1000円/18L以下になってから。

10年前のエアコンの暖房効率(COP)は、おおむね4.0程度です。 経年劣化を加味し、実効COPを3.0程度と想定すると、灯油の価格がおおよそ1,500円/18Lで、ブレークイーブンとなります。 2013年11月末の灯油販売価格は、1,800円強で推移しており、数値だけで比較すると、エアコンか灯油か、判断が難しいかもしれません。
しかし、灯油ファンヒーターや灯油ストーブの場合、点火や運転に電力が必要で、一酸化炭素排出に伴う空気の換気も必要なので、実際の暖房効率は上記表中の数値よりも劣ります。
また、エアコンは、他にも、燃料の補給が不要な点、タイマー動作で、就寝や起床時間に合わせてきめ細かくコントロールできる点でも、利便性が高く、省エネ性も期待できます。
安全面においても、エアコンは、炎による火災や、一酸化炭素による中毒の心配が無く、光熱費に加え、快適性、安全性を加味すると、さらにエアコンが有利であると言えます。
結論として、石油ストーブを検討するのは、少なくとも、灯油価格が、1,000円/18Lを下回ってからで良いでしょう。
因みに、最新のエアコンを利用している場合、暖房COPは6程度に達している事から、実効COPを少なく4.0と見積もっても、ブレークイーブンとなる灯油価格は、1,000円/18Lで、2013年11月末時点の灯油販売価格を大きく下回っています。 さらに、先述のような、エアコンのメリットを加味すると、エアコンが圧倒的に有利である事は疑い有りません。 
なんとなく、石油ストーブでの暖房がお得に思っていた方は、今すぐエアコンに乗り換えたくなったのでは無いでしょうか?
計算して納得! ですね。

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*畳数は、カタログなどで表記される冷房時の目安です。 暖房時、部屋の条件により異なります。

備考:
関東以北など、外気温が氷点下となる降雪地域や寒冷地域では、エアコンの暖房効率が極端に低下したり、使用できなくケースもあります。 この場合、石油ファンヒーターが有用であり、実際に、寒冷地で活躍しています。 また、石油ファンヒーターは、運転開始直後から、非常に高熱の温風が吹き出し、部屋全体を素早く温める事ができます。 エアコン暖房はなんとなく寒く、石油ファンヒーターが温かく感じる一因と考えられます。 お好みによっては、石油ファンヒーターをお使いになるのも良いでしょう。 (この記事は、燃費を算出して比較する事を目的としています。 石油および石油ファンヒーターでの暖房を否定するものではありません。)

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